闇に落ちるのは簡単だ
ただ足をすべらせるだけでいい
わざわざ這い上がることもない
闇の中に溶け込むのは簡単だ
孤独を感じるだけでいい
同じ場所に実は大勢のくだらない人間がいるなんてこと
わざわざ思い出すこともない
闇の人間なんて愚か者だということをゴンはよく知っていた
まわりは自分を闇を知らないから闇に落ちないものだと揃って思っているようだったが
ゴンは闇をよく知っていた
憎悪、醜悪、きたないもの
いくら小さな島だからって人間が複数で住むところ
特に、貧しい島での暮らし
田舎のものが純朴だというのは都会の人間の妄想だと思う
ゴンは幼いころからその目でみてきた
闇はよく知っていた
その中にうずくまり くだらないものを引きずるのは
釣りをすることのほうがよっぽどたのしいと思えた
ばかばかしい、と
だからカードの裏をこっそりみせるようにしながら近づくあの男が苦手
まるで 自分の知らない闇をみせつけ、そこから自分を堕とそうとしている究極の愚かもの
ただそれを覆すだけの力も、言葉のいいまわしもゴンは今はまだみつけられないでいた
相手は強い、そして経験も豊富だ
闇のことはよく知っていたし、その裏も表も客観的にみている数少ない大人のひとりだった
それに彼は闇に落ちているわけでもない
「君はこわくないのかい?◆」
「こわいけど、このまま逃げるわけにはいかない」
「君は強いね」
眩しそうにヒソカは目を細めた
「君のこと、好きだよ」
ヒソカは嘘が多いがその中に割りと多くの真実も持っていた
自分の考えに対しては素直だということはなんとなくわかった
「俺はわかんない」
「いいよ◆ 別にこたえなんか求めてないからさ」
「・・・・・・」
ヒソカはブレない
闇を知っておきながら、堕ちる要素も持っていながら
その境界線を渡り歩く
取り乱そうとすれば自分で抑えるし、たのしむところはたのしんでいた
眩しいのはヒソカのほうだ
今の自分ではきっとそんなことしたら闇に堕ちてしまうだけ
そんなくだらなくなるのがいやで
闇から遠いところにいるだけ
真っ白な光の中だというのに
俺はただうずくまって
泣いているだけだった
「光の中にいるのは簡単だ★」
「うん」
「たのしいことだけ考えてればいい。前向きにしてればいい」
「うん」
「それはとても芯がいることで、闇に堕ちるよりはとても難しいことだけど、ね◆」
「ヒソカは俺を落としたいんだ」
「勿論☆ 君は闇のことは知ってるけど、堕ちたことはないんだろう?」
「なんでわかるの?」
「そういう、目をしてる」
えらいね、といって彼の手が俺の頭を撫でた
そこへいきたい
闇でも光でもない、俺が心から愛せる世界
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精神的な闇と光の立場を逆転させてみたくってこうなりました。
スレてるなぁ…スレゴン…なのかこれ。
なんか最近の26巻とかのゴンをみてると
ただ純粋なだけじゃないリアルな人間感が伝わって富樫すげぇな…と思います。
深い底をもった目。なんとなく畏怖を感じます。
ゴンはなんとなく闇に堕ちてる人間がわかるんだと思います。
キルアはまだ大丈夫なところにいた、だから助けてくれた・・・んだと思います。
だからクラピカには復讐してほしくないし
意外とレオリオみたいなひとが理想というか、一緒にいてたのしいひとなんじゃないかなぁ
あとヒソカとかね
イルミは闇の側の人間なんで苦手・・・みたいな。
苦手だけど、人間というものはきらいになれないのでどうにもならないけどどうにかできたらいいなぁ・・・と思っててくれたりすると萌えます。
ゴンはひとより白と黒がはっきりわかれてるイメージ。
普通はもっとマーブル状なんだよ。
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