「ぅ……ぁああああああああああ!!!!!」
空気を裂く大きな悲鳴
慌てて子どものその目を手で覆って目隠しをした
そしてできるだけ素早く確実にその子をその場から拐った
このまま此処にいたら
ゴンは壊れてしまう
「そんなことはさせないよ◆」
あたりはどこもかしこも血まみれだった
自分としてみれば別によくある風景でどうでもよかったが
ゴンがあの状況でここにたっていたことを思うとゾッとした
(壊れてしまう壊れてしまう壊れてしまう…!)
早くしなければ
傷だらけのゴンを抱えてヒソカは闇の中を走り抜けた
「あれ、俺が、ねぇ、だって…ち、おれ、あ、ぁ、う、みた、あの、ちが、きる、あ、みんなと、が…あ」
ゴンはヒソカの腕の中で意味を成さない言葉ばかり呟いていた
みたこともない弱々しいゴンの姿はヒソカを誰もみたこともないほどに狼狽させた
「僕が壊すまで…壊れないでおくれよ」
願うようにヒソカはそう呟いて足をさらに早めた
やがてひとまず安全な場所をみつけ、ゴンを横たわらせる
ボロボロの身体で意識も朦朧とした彼にヒソカは口付けた
「ひ…そか、」
何度目かの口付けで我に返ったのかゴンはヒソカをみる
「ヒソカ……たすけてくれたんだね、ありがとう」
その目にはまだ強い光が宿っていて
ヒソカは心底ほっとしたが
そんなことは表情には一切ださずゴンをただみつめ返していた
「またいくのかい?★」
「うん、戦わなきゃ」
「またヤるのかい?」
「うん、今度こそ勝たなきゃ」
壊れかけのおもちゃ
壊れかけ、
でも所詮玩具
でも ……
「仕方ないな◆僕も手伝ってあげる」
「えっ、そんなのいらないよ」
「……★」
意を決していったのにあっさり断られる
「なんで」
それが気にいらずゴンをみるとゴンは自信満々で身体を起こし拳を掲げた
「俺の問題だもん。それに俺がアイツぶっ飛ばさなきゃ気がすまない」
「できるの?負けてたじゃない◆」
「うっ…でもヒソカだって死んじゃうかもしれないよ」
「そんなこというのはこの口かい?♪」
むにっとゴンの頬をひっぱる
「おれひそかがしぬのやらもん!」
「………。」
思わず手を離した
「君だって死ぬかもでしょ◆」
「俺は死なないよ」
「なにそれ」
「なんとなく!」
彼の目はキラキラと輝いて
先程の壊れかけの姿とはうってかわっていた
だがやはり芯は弱り脆くなっているのを瞳の奥に感じたのも確かで
「ぷっ…あはは、ほんとに…君は…」
ヒソカは思わず声をだして笑った
それから軽く彼の傷ついた手を握った
「手伝ってあげるよ◆」
「だからいらないって、」
「いいじゃないか★死なない程度に手伝うよ。それならいいだろう?死にそうになったら逃げるカラ◆」
「うーん…それならいいけど。なんで?」
黒いまるい目がこちらをみあげる
まっすぐな、め
血まみれで傷だらけで
心さえ今すぐくだけちりそうなのになおもまっすぐ光るその姿に
興奮と焦燥を覚えた
「玩具だけど、とりわけお気に入りだからねぇ…ゴンは◆」
「なにそれ」
「きみがアイツをぶっ飛ばして生きてかえってきたらたら教えてあげる」
そのままなにか誓うように握ったままのゴンの手の甲に口付けると、ヒソカは立ち上がった
「まあ僕にもよくわからないんだけどねぇ◆」
「へんなの!」
まあ
多分、
すきってことかな
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またキメラアント編あたりをぼんやり思いえがきながら妄想
キメラアント編はゴンが壊れそうでハラハラします
でもゴンが壊れそうなときにはヒソカがくるような気がしたらこうなりました
死にそうになったら逃げるとかいいながらヒソカさんなんか死亡フラグっぽくなってしまった
キルアとかが死んでもゴンは壊れちゃうからキルアも守んなきゃいけないしゴンは勿論守らなきゃいけないし…とゴンを大切にするなら色々大変な目にあうヒソカさん
苦労人になるのがいやだし釈だし弱味になるから好きってことを認めなさそうだなあ
無意識に苦労人になればいい…
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