夢、なんかずっとみないで過ごしてきた
つもりだったんだけど ねぇ
本当はみていたのかも、しれないね
「悪い夢でもみてたの?」
「・・・・・・・夢、ねぇ◆」
ゴンに訪ねられ、
ヒソカはトランプを手にとった
暗闇にいた
特にどうともない、自分が過ごしている世界
いつもと変わらない暗闇だった
それが一瞬で真っ白な世界になり、眩しさに身体の反射が目を細めた
両手が異様にあたたかかった
一度目を閉じてから手元をみる
目にうつるたくさんの 血
ただ、血には違いないのだが真っ黒だった
夢だからかもしれない と、冷静に脳の隅に思考が過ぎる
それとは反対に心臓がいままでないほどに早く脈打っていた
ドクン◆ ドクン、
どくん。
みるな と 本能が警報をならしているが
自然な流れで目線が床に落ちる
見覚えのある服、 鞄、釣竿
全て黒く塗りつぶされている
震える指先で確かめるように触れた
冷たく 染まった 足、指先、頬・・・
ああ 間違い無い・・
「ゴン、」
誰に確認するでもなく名前を口にした
「ゴン・・・ゴン、ゴンじゃないか。ねぇ・・・ごん、ごん・・・っ、ゴン・・・ゴン、ゴン…ゴン・・・ゴン、ゴン、ゴン・・・おい、ゴン・・・ごん、 ゴ・・」
溢れてくるのは涙なのか感情なのかオーラなのか声なのか何が何だかわからなかった
自分の右手が左足に感じ、脳は背中にあり、目はきっと足の裏にでもあるような
身体がバラバラになっているのは
目の前、の
黒髪の 子ども
なのに
なぜ・・・・・・?
そんな気がするんだろう
「ぁ、」
そして小さくなった彼の身体の一部たちが次々に白い世界に溶けていった
「・・・・・・あ、ああ・・・・」
ヒソカは両手で目を覆った
自分は何者だったろう、
今は化粧をしていただろうか
髪は?あげている?
そもそも髪の色は?目の色は?
何を着ている?
肌の色は?性別は?
名前は?誕生日は?出身地は?生まれた国は?
今は何時だ?ここはどこだ?なんだ?どういう意味?
すべてがほどけて中身が穴へと転がり落ちいくような
そんな
「ヒソカ?」
「 」
やわらかで少し高いその変声期前の少年の声で目が覚めた
心配そうに眉を寄せてこちらをみている
こっちはいつでもそっちを殺せるというのに、相変わらず
無邪気、な。
「悪い夢でもみてたの?」
首を傾げるゴンをみながら顎に手をあてて少し考える
「・・・・・・・夢、ねぇ◆」
意識することも考えることも特になにもないんだけれど、
とにかく夢はみた
思い出すのも億劫というか、気が乗らなくて
手元にあったトランプを軽く切って頭をゆっくりと回転させる
この少年と生活をともにし始めてそういえば結構たつ気がする
月日なんて数えだすと面倒だから忘れたことにはしているけれど、
ともに旅をしている 今は
同じ宿、同じ部屋 同じベッドの上で
少年・・・ゴンがじっとこちらをみていた
「なんだい?◆」
ヒソカはとりあえずいつもどおりを装って笑ってみせた
夢の現実の境でまだ視界が少し歪む気がする
小さい手が頬に触れる
あたたかい
日差しのようだと 思わず目を細めた
少年はまっすぐ視線をそらさない
その姿はまさしく彼自身がお日様のようで
「ヒソカ、俺 此処にいるから」
「?★」
「俺は壊されないよ。ヒソカにも、他の誰にも」
額がコツンと重なり 少年はにっこりと笑った
「・・・・・・・◆」
それをきいてなんだか気恥ずかしいというか、むずがゆいというか
表情にはださないものの、ぞわぞわとせすじからのもってくるものがある
やられた
「ゴン・・・僕、寝言いったのかい?」
「まあね、うなされてた。 ずっと俺の名前呼んでたけど、」
少し照れながらいう彼は慣れた様子で
「・・・・・・もしかして、よくあることなのかい?◆」
「え、ヒソカが夜中に泣きながら抱きついてくること?? しょっちゅうじゃん。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「でもね、俺うれしいんだよ。」
「そうかい★じゃあ 僕はもう一眠りするとするよ」
「えっ、えー!寝ちゃうの?もしかして怒った??」
「違うよ◆ほら、寝るよ♪ 夢を見直すんだ、」
夢、なんかずっとみないで過ごしてきた
つもりだったんだけど ねぇ
本当はみていたのかも、しれないね
「君と、一緒に」
これからもずっと生きていきたい、だなんて
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トモコレでヒソカとゴンが付き合いだした記念。
ヒソカが弱い、けど
ヒソカの信じられないようなところをゴンにだけはみて受けとめて欲しい的な願望があるんだよねぇ
ヒソカさんは欲しいものができた途端相反して色々トラウマとかもあるひとだろうからごちゃごちゃになって
悪夢をみて何日かに一変パニックに陥ったりするとかそういう話でした。
ガッシュの清麿受小説かいてたら消えたんだよねぇ、ショック。
そういう暗い気持ちもこもってこうなってしまったんでしょうか。
修正したけどあまり変わらん。文才がないところは開き直るべし。
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